ハンコの法的な効力と隷書体が広く普及している理由について


印鑑50

日本では書類の内容に同意した印としてハンコが使われています。他の国でも儀礼的な意味で使われることはありますが、ハンコが法的な効力を持っているのは日本だけです。また、ハンコに刻まれる文字の書体にも強いこだわりがあるとされています。

ここではハンコの重要性や扱う際の注意点、使用される書体の種類についてお伝えします。

国によって違うハンコ事情と日本での動きを知っておこう

ハンコの効力が強くなったのは明治時代以降

現在のようにハンコの法的な効力が強くなったのは明治時代からです。それ以前から重要な書類のやり取りにハンコが使われていましたが、あくまでも本人同士が決めたローカルルールであり、必ずしも強い効力を持つとは限らなかったのです。

明治時代になると全国一律の決まりを作る必要性が生じたため、ハンコに関しても法律に基づく効力が生じました。公的な書類には捺印が必要になる他、捺印したことで書類の内容に同意したと解釈されるようになったのです。

ハンコを持つ人の意思よりも捺印された事実を重視するようになったのもこの頃からですが、一方で第三者が勝手に捺印してトラブルに発展するケースも増加した事実は否定できません。

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ハンコの重要性と正しく扱う方法

ハンコを押すのは書類の内容に同意したことを意味するので慎重に行わなければいけません。捨て印と称して別に捺印することを求めるケースもありますが、捺印した部分を悪用されるおそれもあるので避けるのが賢明と言えるでしょう。

ハンコは大別すると実印とそれ以外の認印がありますが、法的な効力はどちらも同じです。

実印は役所に届け出て印鑑登録された認印の一種で、たしかに本人の所有物であると証明されているハンコです。公的な書類や多額の金銭を伴う取引などに用いられることが多く、その点からも捺印は本人によって行われたと解釈されます。

実印を押している書類の内容を翻すことは非常に困難なので、捺印はよく考えたうえで行います。認印は印鑑登録されていないハンコであり、市販されている既製品をそのまま使うのが一般的です。安価で購入できる三文判が主に該当しますが、認印も本人の同意を意味する捺印ができるので安易に使うのはよくありません。

また、既製品は使用される書体が画一的であり、他メーカーのハンコとほぼ同じというケースも少なくありません。第三者が他のハンコを捺印して本人が押したと偽る可能性も否定できないことから、既製品を重要な書類に用いるのは避けるように心がけます。

ハンコの中には印面が柔らかいゴムで作られたゴム印がありますが、印面が容易に変形することから認印のような効力はありません。ゴム印は一行ハンコなど、事務作業に用いるのが普通です。ハンコは高級な素材で作ることもあるのでステータスアイテムとしての側面もありますが、何本も持つのは管理のうえで問題と言えます。

認印として使用できるハンコは悪用されるおそれがありますが、何本も持っていると紛失しても気がつきにくく、後になってから重大なトラブルに見舞われてしまいます。実印が1本、それ以外の認印が1本か2本程度が無難な数と言えるでしょう。

認印は安価な物でも法的な効力を持っているので、決して他人に預けてはいけません。親族が相手でも同様であり、ハンコは本人だけが持つという考えを徹底する必要があります。

ハンコに適した書体の種類

ハンコに刻まれている文字はメーカーごとに異なりますが、その書体のほとんどは古代の中国で作られました。中国では漢字が使われていましたが、形状が複雑なのでそのまま筆で書くと文字が潰れてしまうことがあります。

そのため、小さく書いてもはっきりと判別できるように特徴的な書体が作られるようになったのです。

文字が潰れない書体はハンコ作りにも活かされ、篆書体や印相体、楷書体など様々な書体が使われています。中でも隷書体は文字がはっきりと判別できることから認印でもっとも使われている書体です。篆書体を簡略化したことによって文字の潰れが生じにくく、文字ごとの違いを判別しやすくなっています。

隷書体の原型である篆書体は象形文字から派生したもので、ハンコに使われた最初の書体とされています。現在の漢字と比べると形状が複雑で読みにくい書体ですが、一方で偽造しにくい利点もあります。日本の紙幣にも採用されている篆書体は実印向けの書体と言えるでしょう。

隷書体をさらに簡略化させた古印体は文字に丸みがあり、柔らかな印象をもたらすのが特徴です。文字の崩れが少なく読みやすいので、隷書体と同様に一般的な認印に多用されています。

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隷書体が認印に多用されている理由

隷書体は読みやすく、文字の崩れが少ないのでひと目で理解できます。また、線の太さが均一なので形状のアレンジも容易です。ハンコは綺麗な円形以外に楕円形や四角形など様々な形状がありますが、隷書体はどのような形状の印面でも綺麗に収まります。

印面の作成も簡単なので、安価な量産品向けの書体と言えるでしょう。線の太さが異なる書体はひび割れや欠けなどの破損が生じやすい欠点がありますが、隷書体ならそのようなことはありません。書体の中でもっとも長持ちすることも隷書体が広く普及している理由です。

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ハンコのお手入れは目詰まりの解消が目的

ハンコを押すと文字が潰れてしまうことがありますが、これは印面が朱肉の残りかすで汚れているために起こるトラブルです。

捺印後はこまめに拭き取るのが理想的ですが、力を入れ過ぎると印面が破損するおそれもあります。ハンコのお手入れは印面の凸凹がしっかりと確認できる状態に保つことが目的なので、朱肉の残りかすを綺麗に取り除くことを忘れてはいけません。

わずかに湿らせた柔らかい布で撫でるように拭き、凹んだ部分に詰まった汚れを取り除きます。すべての汚れを除去した後は日陰で自然乾燥させるのが上手なお手入れの方法です。ハンコは印面にわずかな傷みが生じても法的な効力が失われるので、お手入れの際に誤って破損させないように気を配ります。

ハンコは消耗品でもあるので、長く使っていると印面がすり減ってしまいます。均一に力をかけて捺印してもかすれが生じる場合は印面の摩耗が疑われるので、速やかに新品と交換するのが無難です。

読みやすく丈夫なのが隷書体の魅力

ハンコは限られた広さの印面に複雑な形状の漢字を彫って作ることから、文字が潰れにくく読みやすい書体が採用されています。

中でも隷書体は筆書きの文字に近い形状で読みやすく、線の太さが均一なので衝撃を受けても破損しにくいのが大きな利点です。

小さなハンコに彫るのも難しくないため、三文判のような安価な量産品に多用されています。