国によって違うハンコ事情と日本での動きを知っておこう


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日本で暮らしているとハンコは当然必要なものだと思うかもしれません。昔はハンコが必要だったケースでもサインで良いというケースが増えてきたのは確かですが、暮らしていく上ではハンコが必需品でしょう。しかし、世界的に見るとハンコ事情は国によって異なります。

日本でも新しい動きが出てきているので状況を把握しておきましょう。

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ハンコ文化は日本に特有か

ハンコは自分が確かに認めたことを示す認印を代表として、会社として認めたことを示す会社印、銀行で口座の持ち主だと示すための銀行印などのさまざまな種類があります。数個のハンコを持っている人も多く、ハンコを使い分けて生活するハンコ文化が日本にはあります。

ただ、少し詳しい人だとヨーロッパやアメリカにはハンコ文化がないことを知っているでしょう。特別なシーンでハンコを使用するケースもあるのは確かですが、個人が普段使いのためにハンコを持つようなことはヨーロッパやアメリカではありません。

そのため、ハンコは日本に特有の文化だと考えている人もいます。しかし、ハンコは日本発祥のものではなく、中国から伝来したことが知られています。中国文化の影響を受けてハンコが重視され、印鑑登録などの制度も設けられて積極的にハンコ文化を育んだのが日本です。

中国でもハンコを使用する文化が根強く残っていますが、発展途上国から先進国の一員になろうという積極的な取り組みをする中で欧米化し、ハンコをあまり使わない文化になってきています。日本や中国の影響はアジアではかなり大きく、ハンコの文化が育まれてきた国もあります。

台湾や韓国が代表例ですが、韓国も日本に半ば強制された部分があってあまり使われなくなりました。台湾ではまだハンコ文化がありますが、日本ほど浸透しているわけではないのが実情です。

ハンコ文化を導入する国はない

日本は先進国の一つなので、参考にしたいという国があってもおかしくはないでしょう。ハンコ文化を導入した方が経済成長を見込めるのではないかと考える国があれば積極的にハンコを使うようになるはずです。しかし、実際にはハンコ文化を新たに導入する国は特に知られていません。

もともとハンコを使っていた国では台湾のように継続しているケースがあります。どちらかと言えばハンコを撤廃する方向に進んでいる傾向が強いのが現状です。やはり先進国の中でも日本だけにハンコ文化があり、欧米ではほとんどハンコが使われていないとなるとハンコよりもサインを使う仕組みを取り入れるのが合理的なのでしょう。

日本でも公的手続きで認印は全面撤廃の方向

このような世界各国の動きを受けて、日本でも新しい動きが始まっています。少なくとも国としてはハンコ文化をなくして押印をなくそうという方針を定めています。2020年9月の時点で内閣府は行政手続きにおける押印の原則廃止を全ての府省に要請しました。

ただ、即時撤廃というのは難しく、印鑑登録や銀行印関連の手続きに関しては存続しています。

しかし、内閣府では「地方公共団体における押印見直しマニュアル」も発行し、積極的にハンコ文化をなくす方向で現場改革をするように進めているのが現状です。最終的には完全廃止を実現しようという取り組みになっているため、社会全体に大きな影響を与えています。

企業では電子ハンコの導入が進む

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契約などの場面でハンコを必要とするのは企業においてはビジネスのスピードを減速させる要因です。業務負担を大きくする原因でもあり、ハンコなしで済ませられないかという考え方は昔からありました。行政におけるハンコの撤廃の動きと、ペーパーレス化や働き方改革の推進を受けて、企業では電子ハンコの導入が進んでいます。

電子ハンコは電子書類に認証を設けるシステムのことで、ただハンコの画像を書類に重ねるだけではありません。PDF形式が最もよく用いられているもので、署名という扱いで電子認証をする仕組みになっています。電子認証をしたという証としてハンコの画像をプリントする方法がよく取り入れられています。

電子署名と電子ハンコの組み合わせは世界的にも受け入れられています。国内での取引だけでなく、海外との契約でも活用できることからメリットが大きい方法として積極的な導入が進んでいるのが現状です。ただ、グローバル展開をしていない企業や電子認証にコストをかけられない零細企業ではまだ浸透している文化ではありません。

しかし、現代ではペーパーレス化が推進され、紙を使わずに電子書類を使用することが求められています。働き方改革を進め、オフィスでの仕事にこだわらずに自宅などでのリモートワークを取り入れることも推奨されています。

この際には電子ハンコの方が使いやすくて効率が良いのは確かです。そのため、ゆくゆくは電子ハンコが常識化される可能性があると言えるでしょう。

銀行では未だにハンコが重要

日本でハンコ文化が完全になくなるのかというとそうではありません。行政手続きでは印鑑が不要になってきていて、企業活動でも近い将来にはハンコが使われなくなる可能性があります。しかし、ハンコ文化が根強く、行政での完全撤退が目指されているにもかかわらず、依然として体制が変わらない業界もあります。

代表的なのが銀行を代表とする金融機関です。メガバンクを代表として口座の管理には銀行印が必要なのが一般的です。ネットバンクではサインで済ませられるケースも増えていますが、店頭で口座開設をするには印鑑の登録と認証を求められる状況があります。

銀行としてはセキュリティー性を少しでも高める必要があるため、現行のハンコ文化を変えづらいという事情があるのです。個人でも法人でも銀行や信用金庫などの口座を利用していることは多いでしょう。全てネットバンクにすればハンコなしでも大丈夫かもしれませんが、やはり日本ではハンコの必要性が高いのが現状です。

他にも不動産の契約などのように金額が大きい契約ではハンコを求められる傾向があります。

ハンコ文化は当面はなくならないと考えよう

国によってハンコ事情には違いがありますが、日本ではハンコに基づく制度が定められてきた影響でペーパーレス化や働き方改革が進む現在でも完全撤廃は難しい状況があります。日本ではハンコ文化が当面はなくならないと考えて、いくつかはハンコを持つのが無難です。

銀行印や実印も気軽に作れるので、必要が生じたときにはためらわずにすぐに業者に依頼しましょう。