法人、個人を問わずに様々な税の悩みを解決するのが、税理士の役割です。納税は国民や企業などに課せられた重要な義務ですから、それをサポートする税理士は、度々、大切な書類を扱うことになります。重要な文書に署名、押印を求められるため、ハンコについてはしっかりと検討することが大切。
そこで今回は、税理士とハンコの関係について掘り下げていくことにします。
結論から言うと、税理士には職印を作る義務がありません。特に士業を営む場合には職印の作成が義務になっているケースが多いのですが、税理士は例外です。言ってしまえば、三文判を使って仕事をしても大丈夫。ただし、法律上のルールがないため義務ではありませんが、実際には税理士として職印を作っているケースは多いでしょう。
やはり、大切な文書に押印する機会がありますので、それなりに格式の高いハンコを用意した方がメリットがあります。「税理士」と入った印鑑を使った方がクライアントから見ても信頼を感じますし、自身にとっても偽造の懸念を払拭するために有益です。
特にクライアントは税理士の事情に詳しくないので、重要文書に三文判を押すのを見ると、「大丈夫なのか」と不安になりかねないでしょう。
先述の通り税理士のハンコには、法的ルールがありません。
このため、丸型でも角形でも構いませんし、サイズなども自由です。ただ、自由過ぎるとかえって、どんな印鑑を作ればよいのか迷いやすいですから、一般的な傾向を見ておきましょう。
あくまで参考ですが、税理士を営む時には、丸型と角形、両方の印鑑を作っているケースが目立ちます。その理由は、文書の重要性によって使い分けるためです。確かに税理士は重要な役割ですが、扱う書類の中には領収書などの重要性が高くないものも含まれます。
領収書などの小さく簡易な書類に巨大な税理士の職印を押すのは、流石に大げさかもしれません。それでも三文判だと、いまいち信用性に欠けると感じるケースも多いでしょう。そこで、契約書などには大き目なハンコを用意し、簡易な文書に使う小さい印鑑も同時に作っておく方もしばしば見られます。
法人ですと一般的に重要な場面では丸形を使いますが、税理士はこだわる必要はないでしょう。フォーマットは、資格名として「税理士」を配置した後に「氏名」、そして「之印」と続けるタイプが一般的です。
税理士法人を設立する時は、ハンコの作成が必要です。税理士の職印ではなく、法人の実印が欠かせません。商業登記を行うことが、税理士法人の設立条件なのですが、これに実印を使うのです。法人の実印は届け出を行っておくと、その企業や組織の存在を証明するために役立ちます。
設立登記以外でもしばしば使うケースがありますから、偽造を防ぐためにも格式の高い印鑑を作ると良いでしょう。ちなみに、法人設立時には代表者や社員の印鑑証明書も求められます。
近年は法的な文書であっても、印鑑を使わずに別の方法で真正を証明する動きが加速しています。いわゆる印鑑廃止がブームになっていますので、税理士としてハンコを用意するか迷っている時には、気がかりかもしれません。
この点、印鑑廃止は税理士の業務にも大きな影響があると考えられます。例えば法改正により税務関係の書類に対する、押印義務が大きく見直されました。この法律が施行されると、確かに税理士がハンコを使うシーンは激減するでしょう。
ただ、印鑑を使う機会が全くなくなるかと言えば、そうではありません。契約書や領収書などの私文書は電子化が進んでおらず、現実的に印鑑を利用する機会は多いです。特に一定の年齢以上の方はデジタルへの信頼が薄く、電子署名を好まない傾向があります。
このため、現時点では税理士の職印を作っておくと、しばらくの間は利用する機会がありそうです。
実店舗で作っても良いのですが、近年は通販の利便性が増しているので、こちらもおすすめできます。推奨できる理由は色々ありますが、オンライン上でシミュレーションを行えるショップが増えており、出来栄えを確かめられるのが大きな魅力。
フォーマットや字体などを自由に選んで、どんなハンコになるのか完成形を画面表示してくれるのです。押印した時のデザインを具体的にイメージできるので、特にこだわって印鑑を選びたい時にはうってつけでしょう。他には、オンラインで探すと素材や字体、印鑑の形状などに関して選択肢が増えるのもメリットです。
大きな実店舗なら話は別ですが、基本的に店頭でハンコを買う時は、色々と制約があります。素材の自由度が低いとか、自体の種類が限られているなどです。オンラインだとストアごとに色々な特徴があるため、自分の希望にマッチする印鑑を探せます。
もちろん、費用などを比較検討することもできるので便利。口コミなどを参考にして選びやすいのもメリットです。また、オンラインでは士業関係の職印に特化しているサービスがあります。専門性が高い分、職印のような特殊なハンコへの対応力は高め。
税理士がどんなハンコを作ることが多いのかなど、業界事情に詳しいストアも見当たります。
繰り返し使うので耐久性は重視した方が良いでしょう。近年はチタンなど、金属系の素材が注目を集めています。耐久性がある上に捺印性が改善された素材あり、魅力が高まってきました。光沢があって高級感を感じられるのもメリットです。
他はスタンダードな黒水牛も人気は健在。上品な質感をもつ漆黒の素材で、耐久性もあります。迷った時には黒水牛を選ぶ方も多く、非常にポピュラーな存在です。後は柘植も良く利用されます。柘植は木材の中でも丈夫で印鑑に向いており、しかも、リーズナブルとメリットが多いです。
木の温かさを感じたい時には、おすすめの素材と言えます。価格はストアや素材などによって千差万別ですが、安いものなら数千円で作成可能です。それで何十年と使えるのですから、費用対効果は低くありません。ことによると一生モノですから、価格よりデザインや品質にこだわって選ぶのも悪くないでしょう。
税理士の職印は、法律上は作成義務はないものの、持っておくと何かと役立つ可能性があります。源泉徴収や領収書などにも使えますし、まだまだ電子署名を好まない方は珍しくありません。価格は安いストアなら数千円で作れますし、費用を気にしなければ高級素材や装飾品も自由に使えます。
まずは、どんなストアがあるかリサーチしてみてはいかがでしょう。